キョウハナニスル
練習のない休日、午前5時。とてつもなく早起きの息子が、私に何か言っている。
「おはよう」ではないのは、すぐに分かった。何て言っている?何?what’s?
目を閉じたまま、その言葉に耳を傾けてみる。
………「キョウハナニスル?」……「今日は何する?」…
息子とオトウチャンの休日の朝は早い。起床して10分後には、目的の地へ車を走らせている。
着替えは? 朝食は? トイレは?
男同士、気の向くままに、多少のイレギュラーに揉めることもありません。
高速を走ること30分、そこは緑の木々に溶け込むように、ホテルや別荘が佇むリゾートエリア。でも息子にとっては、自分だけが知るカブ・クワの集まる木のある秘密の地。
この時ばかりはオトウチャンの前をさっそうと歩く息子。早くあの木を確認したい。そして本日の結果、小さなヒラタとコクワが計14匹。まだ時期が早かったようです。
毎年、その夏に見つけた一番大きな個体は、オトウチャン手により標本に。この制作、とてもグロテスクです。
小さなクワガタは越冬して1年以上、大きなクワガタも夏から翌年の2~3月頃まで生きた個体もいます。飼育係のR40は、これから妻と娘の冷たい視線を浴びながら、長い時間をクワガタと共にします。
今シーズン初のクワガタを手に取りに、昆虫図鑑で覚えたのであろう単語を並べて、私に何か言っている息子。その表情は、ペット専門店にいるときと同じ、喜びに満ちたものでした。
ちなみに、練習中に競技場内にいる虫(死骸含む)を拾って調べる行動については、一応止めるようにと注意はしています。
(終わり)