オタチュウへ行く
トレカショップ巡り。息子にとって冬休み一番の目玉行事だ。
コツコツ溜め込んだお小遣いを握りしめ、サブカルの聖地を巡る。
トレカショップの大半は、狭くて薄暗い雑居ビルに店を構える。
扉の先に広がる世界とのギャップが、男子にはたまらない。
省スペースに所狭しと並ぶショーケースに誰もが夢中になっている。
そして1枚~万円といったカードが売れていく。
収集という男の習性がこのテナントを、地域を、市場を支えている。
鑑定評価のオタクを目指すオトウチャンとしては、ここは気になる。
ちなみに息子は「オタチュウ」というお店が気に入ったようだ。
オタチュウ...オタク連中...オタク中毒...オタカラ中古...オタカラ探し真っ最中...
どうでもいいことも気になる。
このTシャツも気になる。
今年もたくさん笑いたい。
(終わり)
男ふたりの旅(万座温泉)
息子と男ふたりの温泉旅。ここを訪れるのは今回で4度目だ。
日常から解放された自由気ままな時間には、計画性も何もない。
標高1800mに沸く高地温泉を目指す。道中の想定外(スリップ多発)にも男同士は慌てない。
大丈夫、心配はいらないさ。ゆっくり進んで行こう。
気温は-3℃。ひっそりと静まり返った雪道を歩きながら、息子は何を思う。
息子「カッコいい車があるよ!」
前日の吹雪でふんわりと出来上がった模様。
古くから湯治場として多くの湯治客に利用されている万座温泉。
冬場はスキー客らしき若い姿も目立つ。ツアーバスも来ていた。
スキーウェアをまとった女性は皆可愛く見えるのは、今も昔も変わらない。
いつの時代も男は騙される。
泉質は濃厚硫黄の酸性硫黄泉。毎冬、乾燥肌で保湿クリームべっとりのオトウチャンと息子。
ここでは入浴後の痒みを気にしない。
帰路で立ち合えた浅間山。息子は温泉の余韻に浸りながら、車の中で眠っていた。
その無垢な寝顔と美しい景色を眺めながら、しばし時間を忘れた。
でも陽が傾き始めると、冬山の道路は安心できない。飛ばさず帰ろう。
オトウチャンの楽しみに付き合ってくれた息子に感謝の回転寿司。
一貫もの(少々高いやつ)を躊躇なくオーダーしてくる。
実家に立ち寄り、お土産をお裾分けする息子。
2019年も残り3日。
来年もまた、こうした大切な時間のために、ゆっくり頑張ろうと思う。
(終わり)
最近の息子 Vol.3
<前回の続き>
週末はオトウチャン仕事で走り(練習)に行けず。
暇を持て余しながら、またもルービックキューブをカチャカチャと回し始めた息子。
父「2面目は簡単にはいかないと思うな。」
息子「(・・・・・・無視)」
帰宅後。
コツとやらを掴んだそうで、他の面もたぶんできそうなことを言っている。
関連動画を見た様子もなく、回しながら覚えたとか。
ちなみにオトウチャンもチャレンジしてみようとキューブを手に取った数分後、
それを握りしめたまま深い眠りについたようだ。
夜中、誰もいないリビングで独り仕切り直し。
こっそり奥の手YouTube様の力をお借りして、逆転劇を試みる。
息子よ、まあ見てろよ。オトウチャン数理解析は強いのだ。
動画の中のお兄さんが爽やかに言った。
「まずは最初の形を作りましょう。この形は適当に回していれば自然にできます!」
カチャカチャカチャカチャ、、、、、(5分経過)
カチャカチャカチャカチャ、、、、、(10分経過)
カチャカチャカチャカチャ、、、、、(30分経過)
、、、、、
オトウチャン、ルービックキューブには触っちゃいけないみたいだ。
(終わり)
最近の息子 Vol.2
先日、昔の映画だが、ウィル・スミスの「幸せのちから」を子供と見た。
映画の中で前者演じるクリスが、ルービックキューブを完成させるシーンがある。
昨日のこと、100円ショップで買ったルービックキューブに集中する息子の姿があった。
折り紙の立体制作にハマっていた2年前と同じ目つきだ。こうなると止まらない。
数時間後、風呂上がりの息子が、素っ裸のままカチャカチャと再度回し始めた。
髪も乾かさずに、パンツも履かずにプラプラさせながら、無言でカチャカチャカチャカチャ。
すると「できた!」と言って見せてくれた。
一面だけだが、オトウチャンは驚いた。
その直後に「パンツ履きなさい!」とオカアチャンに怒られていた。
今日は二面目に挑戦をしていた。
なんかできそうなことを言っている。
(終わり)
オジサン練習日誌 Vol.4
早くも12月。
静かな時間が流れる冬の競技場。
傘雲ってやつですかね。
来春までの約4ヶ月間。ここ大事。
その気持ちに反し、練習前のうどんでオトウチャンはお腹が張って走れない。
本番が先であるほど、心に余裕を感じてしまうもの。
だからこそ、練習前の大盛はアカンと。
大きな目標を達成するための、小さな目標をはっきりさせることが大切なのだと。
偉そうに息子に話してしまった。
こんなオトウチャンと一緒に練習してくれる息子に感謝。
いつもありがとう。
(終わり)
忍耐との勝負
今日も3時間やった。鑑定理論。理解度は聞かないでほしい。
勉強していることは隠しておけと、某予備校の人気講師が言っていた。
でもオトウチャン、走る、勉強する、釣りをする、以外に日頃の話題がない。
タブレットでこのブログをチラ見している長女に対して、少しは父も頑張っていることを記しておきたい。
オトウチャン、毎日2時間以上というノルマを課している。
専業の人は笑うだろうが、ハードル高くすると、豆腐メンタルのオトウチャンは続かない。
鑑定士受験に必要な勉強時間の目安は、一般に2,500~5,000時間と言われている。
そこばかり考えるとしんどくになるので、とりあえず1日。それを重ねる。
とは言ったものの、やはり途方もない。覚えては忘れるの無限ループ。
忍耐との勝負。
いつか司法試験に対して人気講師も言っていた。途切れないようにすること。
鑑定士においても、それは同じことなのだろうと思う。
どれだけやったか、どれだけ成長につながったか。
その実感がないと勉強はツライ。
だからスタディプラス(学習管理アプリ)に記録して、小さな満足感に浸っている。
少しずつ上に伸びるグラフだけは、確かな証だから。
勉強、特に実用はしんどい。でも勉強しない人生はもっとしんどい。
オトウチャンはそう思う。
(終わり)
息子の試合 其の3
息子、今期最終戦。二種目(100m・幅跳び)にエントリーした。
その日、オトウチャンは41歳になった。
例年通り、特別な何かがあるわけでもない。1年で最も静かに終わる1日である。
そんな私に試合前の息子が言ってくれた。
「パパに自己ベストをプレゼントする」
きっと自信もあったのだと思う。でも結果的にそれは叶わなかった。
競技が終わり、周囲では子供同士のじゃれ合いが始まるなか、スパイクを見つめながら下を向く息子の目には涙が溜まっていたように見えた。
「もう1本、跳びたかった・・・」
その後、クールダウンのために補助競技場に向かった息子。しかし、誰もいなくなった砂場を見るや否や、跳躍練習をし始めた。
この日の悔しさを紛らわすかのように、繰り返し砂場にダイブし続けるその姿が、オトウチャンには自己ベスト以上に価値のあるものに見えた。
勝負はいつでも失敗(敗北)から始まる。
息子にとっても、オトウチャンにとっても、特別な1日になった気がする。
冬季練習が楽しみだ。
(終わり)
オジサン練習日誌 Vol.3(うどん編)
風呂で寝てしまったらしく、娘に起こされた。
ずっと出てこないから心配してくれたそうだ。なんか...嬉しい。
オトウチャンの親父もそうだった。よく風呂から地鳴りのようなイビキが聞こえたっけ。
今日も富士山の麓で練習してきた。毎度のことながら競技場は貸し切り状態だ。
雪化粧した富士山が競技シーズンの終わりを感じさせるなか、息子は半そで短パンで黙々と練習に取り組んでいた。
家ではオカアチャンにべったりの息子も、競技場ではオトコの顔になっている。
いい面構えになってきた.....
成長の感慨に浸るオトウチャンに息子が言ってきた。
「ここのトイレが怖くて一人で行けない.....」
雲の中から富士山が顔を出した。
ミニハードルで踏切手前の動きを練習中。
富士山の競技場で練習する日の楽しみは、お昼に食べるご当地うどん。
富士吉田市周辺には50店舗程のうどん店があるそうなのだが、息子は全部試してみたいと言う。
そういったリクエスト、オトウチャンは嫌いではない。
【みうらうどん】
吉田うどんの名店。のれんを見てつい笑みがこぼれる。
肉つけ。胃袋アカチャンの息子も残さず平らげる。
オトウチャンはいつもの月見肉うどん(大)。
【彩花】
威風堂々、行列に向かって歩くちっちゃいオッサン。
カウンターに腰掛け、そのときを静かに待つ。
無言でガッツく息子。
オトウチャンはここでもお決まりの肉うどん(大)。
最近、オトウチャンは気付いた。息子の注文の仕方について。
うどんのときも牛丼のときもカレーのときも、慣れたオッサンのように、必ず何かをトッピングして注文をする。
テーブルに置いてある自家製の漬物などにも手を伸ばし、自分好みの味を楽しんでいる。
そして会計後の「ごちそうさまでしたっ!」がデカい。
その姿はオッサンそのものだ。
うどん全店制覇するころの息子が、ちょっと楽しみ。
(終わり)
最近の息子
秋は2人の子供たちの誕生日が続く。
息子(弟)はタブレットが欲しいと言い、娘(姉)はPCが欲しいと言う。
机や本に向き合う時間を好む姉の要望は解るとして、息子のそれはオトウチャン的には意外だった。
「何でタブレットなの?」と息子に聞く。
「パパのスマホみたいに、分からないことを調べたいから」と満点回答が返ってきた。
普段より鋭い視点を持っているとは思っていた。
変な虫を捕まえたときも、「写真に撮れば種別が判るアプリがあればいい」とか、
YouTubeでゲーム動画を見ていたときも、「プログラムを作ってみたい」とか、そんなことを言っていた。
昨日、待望の品が手元に届いた。
セキュリティや登録等の初期設定を済ませ、今回もオトウチャンとしての仕事が無事に果たせたことに安堵すると、急な眠気に襲われた。
(数時間後)
ふと目を覚ますと、真剣な表情でタブレットを見つめる息子がいた。しかし、よく見ると左手にDSを持っている。その横には辞書のような分厚いゲームの攻略本。
「何しているの?」と息子に問いかけた。
「分からないことを調べている」とクールな返答があった。
そいうことでしたか。
(終わり)